先日のエントリで、iTunesからfoobar2000に乗り換えた(iTunesをやめた)理由を後述する、と書いていたのに、それ以外の文章だけを書いてエントリをしめてしまった。勢いで書いてしまって、推敲をしていないので仕方がない。そのため、今回はその部分だけを書く。
iTunesではサウンドチェックの機能を有効にしていた。これは複数のアルバムのトラックを続けて聴く時にボリューム調整をしなくてもいいように、あらかじめ絞る(古い録音のものをリッピングしたものだとまれに増幅する)ことでその差異をなくし、プレイヤーからの出力レベルをある一定のレベルに揃える機能だ。デジタル時代ならではの考え方だと言える。
私はカセットテープの時代に育った元々アナログ世代なので、その時代にはどのようにしていたかというと、テープに記録する録音レベルというものをソース(FMラジオ、アナログレコード、CDなど)によって調節し、テープには一定のレベルで記録されるようにすることで再生時には機器のボリュームをある位置にすればある音量で鳴るというようになっていた。
閑話休題。
が、iTunesのサウンドチェック機能というのはトラック単位でボリュームの値を調節する。トラック(曲)単位でそのピークレベル(最大音量)を求め、そこからどのように調節すればいいかを決めるのである。シャッフルやGenius、スマートプレイリストなどの機能を重視し、iTunes Storeでも曲単位の販売に力を入れているAppleからすれば当然の実装かと思われる。
しかし、これにも不都合があって、ギャップレスアルバムを通しで聴いている時に、続いているのに音量が変わることがあるのだ。例えばライブアルバムで激しい曲の次にバラードがくる、または逆でもいい。そして曲間は途切れず拍手や歓声が収録されていてギャップレスになっている。しかし、サウンドチェックでトラックが変わると違うレベルにされてしまうので、拍手の音量が変わる、という現象が起こる。私のライブラリではライブアルバムとアニメタル・マラソンのシリーズなどがこのような現象の対象になる。通常のアルバムでは気にならない。
ではどうするか。
iTunesではサウンドチェックで調節する値をライブラリファイルのデータとして持っているが、通常の音楽プレイヤーソフトは音楽ファイルのReplaygainというタグを使って同じようなことを実現している。やることは同じである。このタグには2種類の値が存在する。Replaygain.trackとReplaygain.albumというものになる。前者の値を使う場合はiTunesのサウンドチェックとほぼ同じ動作になる。
後者を使うと、albumとして計算させた値を複数のトラックで使う。物理的に一枚のディスクに収録されている必要は無い。CDを購入した時に複数枚になっていたとしても、Replaygainを計算する時の単位のalbumは一つでもいいし、また全く関係の無いタイトルのCDを一緒に計算して使うこともできる。要するにプリアンプに渡すゲインがそのアルバムの中で一定になると言うことである。
私はfoobar2000でReplaygainを有効にして、albumのタグを使う設定にしている。それによって、ライブアルバムを含むギャップレスアルバムについてiTunesのサウンドチェックで感じていた不具合はなくなった。また、iTnunesのサウンドチェック機能は有効と無効を切り替える時にライブラリ全体をスキャンして値を求め直して有効にし、ライブラリから値を削除して無効にするので時間がかかるが、Replaygainタグを使用する方法であれば、タグを使わないようにするだけなので、一度スキャンしておけば余計な時間はかからない。
(最新のiTunesについて、私はリッピングとiPodの初期化、ファームウェア更新およびPodcast用にしか使っていないのでこの辺りが改善されているかもしれません)
foobar2000はiPodをプラグインを使うことによって使用することができるが(SDKによって、iPodの再生履歴を取得することも可能)、その際に、ReplayGainの値をサウンドチェックの値として反映することができるので、iPodの設定でサウンドチェックをONにしておけばiPodでも音量調整を一々しないで再生できる。この辺りも私がfoobar2000を使っている理由である。
foobar2000+iPodの唯一の問題点は、iPodで再生した後に履歴を取得しようとiPodを接続した時にiTunesが起動しているとiTunesが先にiPodの履歴を読み取ってしまいリセットしてしまうことであろうか。自動起動の設定も確実に切っておかなければいけない。
その、iPodを接続した時にiTunesが自動的に起動してしまうのを止める方法がiTunesのメジャーバージョンアップによって時々変わったり増えたりするところがAppleなので困るのだけれども、私の音楽ライブラリのファイル形式がApple Losslessに移行中なのでもう他のプレイヤーには逃げられないところが悩ましい。PCでの再生は困らないのだが。
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