猪瀬直樹氏が必死である。
調査したり、会合開いたり、本書いたり、Twitter使ったり。
確かに、営団から東京メトロになって、不動産投資が目立ってきたりしているのは良くないし、バリアフリー対策が都営より遅れてるとか経営的にまずいところもあるだろう。
でも、一元化を実施する前にそもそもろんとして、なんで東京の地下鉄だけ、二つの事業者で運営されているのか?ってのがあまり議論されつくされていないような気がする。
「表向き」は、昭和30年代に一気に地下鉄を建設する必要があって、営団だけでは間に合わないから東京都が乗り出した、という事になっている。しかし、その東京都の最初の地下鉄都営浅草線はだいたい営団日比谷線と同時期に工事を行い、東京オリンピックを目指して工事をした。日比谷線は間に合い、浅草線は間に合わなかった。オリンピック期間中、浅草線の工事は中断された。
浅草線は京成押上線と京急本線と直通運転をした。全国で初めての郊外私鉄と地下鉄の相互直通運転の実現であった。それ自体は画期的である。しかし、地下鉄単体で見ると、浅草~新橋間は銀座線と重複、日比谷線と東銀座で接続している。そして、銀座線の混雑緩和という目的であれば、同時期に開業した日比谷線が上野~銀座間で銀座線のバイパスに一応なっている。
私は当時生まれていないので、当時の交通事情がどれほどだったかを知る由もないが、2両編成で運転を始めたこの地下鉄路線がそれほど緊急に必要だったのか?という疑問が湧いてくる。
さらに、次の三田線。これは営団千代田線とほぼ同時期に工事をしている。東京メトロが刊行した本によると、両路線が並行する大手町~日比谷間では、同時にトンネルを掘り、工事は都営側が請け負ったと書かれていた。
三田線など直通運転が長いことなかった地下鉄なので、高島平の団地エリアの利用客を除けば山手線内ではそれほど需要が高い路線ではなかったと思われる。実際、東西線以降の東京メトロの路線が南北線を除いて10両編成で走っているのに対して、三田線は東京メトロ南北線と並んで6両編成で走っている。
しかも、営団時代から東京メトロにいたるまで、東京都はその株主(出資者)である。東京都が工事して運営することができたのであれば、その金を営団に渡して「建設しろ」という訳にはいかなかったのか?という考え方もできる。もちろん、ここには会計的な問題は入っていない。そのあたりはそういう話が詳しい人に考えて欲しい。
結局のところ、東京都交通局は昔から、いろんなモノに手を出すのが好きな事業者だった。バス、路面電車、モノレール、トロリーバス、地下鉄、新交通システム、何でも手を出してきた。地下鉄も自分でやりたかっただけなのではないのか?
一元化は利用者の側からすれば大歓迎だし、ぜひ実現して欲しい課題だ。ただ、東京副知事の猪瀬氏の意見だけを聞いて東京メトロを悪者にはしたくない。そもそも、東京の地下鉄の運営にあとから乗り出してきたのは東京都の方だ。「なんで二元化したのか」という歴史的経緯を東京都の方が、「急いで必要だったから」などという曖昧な理由以外で明確に数字で出すのも必要ではないかと思う。
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