栃木の事件と「てんかん」のこと、続

また、書いてみる。

免許を取る時点から病気を隠していたらしい。同じ病気を患っている者としては、もう、擁護しようがないレベルになってきた。

ただ、最後に少しだけかばっておこうというか、知っておいてもらいたい事実を書いておこうと思う。

まず、「てんかん」は、障害者年金の対象になる病気です。ただし、それは、患者は知りません。医師も一切教えてくれません。私はたまたま、別件で区役所の窓口に行ったときに、私よりも重度の「てんかん」の患者さんと出会い、そしてそのような制度があり、受給を受けられる可能性があることを知りました。要するに、役所や病院から教えてもらったことは一度もないのです。もちろん、社会保険事務所でもありません。

ただし、これが難しいのです。私はてんかんの治療を「脳外科」で受けています。実際、この病気に関する知識、検査設備などは脳外科を診療科に含んでいる病院に多くあります。ただ、医療費の補助や、障害者年金の申請をするためには「精神科」を受診しなければなりません。主治医のダブルスタンダードです。私はうつ病も治療しているため、精神科にも主治医がいます。

そのため、区役所で障害者年金について教えてもらったあと、精神科で相談しました。しかし、軽度だったため、医師に鼻で笑われました。区役所や社会保険事務所では医師の診断書が出ない限り年金にはなりません。

仕事、これだけ失業者があふれる世の中で、事務職だろうが、なんだろうが、「てんかん」の患者(発作の頻度にかかわらずに)を雇用するリスクを負う人がいるでしょうか?別に通常の発作であれば、意識を失った時に、気道さえ確保できていれば、そのまま意識が戻って終わりです。ただ、周りの人が冷静に行動できるとは思えません。

運転の仕事は論外。ありえない。

営業など、お客様と接する仕事は、接客中、商談中に発作が出たらアウト。

結局何も残らない。

実績がなければフリーランスの仕事など限られてくるし、最初から自営業なんてかなり苦しいですよ。健康でないわけだし。

生活保護が残りますが、これもまた厳しい。親と同居していると、親の財産(家や収入)もチェックされるし、自分の貯金が少しでもあればそれを使いきって(貯蓄はすべて生活資金として消費しなければいけない)からでないと生活保護が開始にならない。

親との同居がネックで生活保護が認められない場合、「形式上でも」単身世帯にならなければなりません。発作性の病気を持っていたとしても。そして、そのための引越し費用(アパートなどの契約にかかる費用から荷物を運ぶ、実際に引越しにかかる費用まで)は実費です。その後の生活からが生活保護の対象です。

病人だから、特別視はしてくれません。中国人にばらまき生活保護しているのとは大違いの現実があるのです。

あの人が、このハードルをどこまで知っていて、どこまで実践したのかは知りません。ただ、持病があり、その病気に対して金銭的・制度的補助が認められるとしても、自分で調べたり、たまたま教えてもらう機会がない限り、役所も病院も、決して教えてくれることはない、ということは事実です。

自分が知ってるから、それをある患者に対して、使えばよかったのに、と過去形で使うことは全く無意味で、それが告知されない状況があることが問題なのです。

最初のエントリーで書きました。私は「てんかん」患者として、条件を満たしても、免許の更新をしても身分証明書としてしか使うつもりはない、と。それはこんな事件が起きたからではなく、最初から決めていたことでした。

ただ、あまりにも社会、制度が整備されていない、整備されていたとしても実際に患者に告知さないことが多すぎるということを今回の事件をきっかけに、考えて欲しいと思ったのです。

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