猪瀬直樹氏の著作

Twitterで氏をフォローしているし、著作も色々読んだ。

RTされてくるのは絶賛のツイートばかり。よく取材しているとか、そんなのばかり。

私も「地下鉄は誰のものか」に始まって、「東京の副知事になってみたら」「ミカドの肖像」「道路の権力」「道路の決着」「土地の神話」「言葉の力」「ジミーの誕生日」「昭和十六年夏の敗戦」あたりは読んだ。

で、最初にあることを書くときはいいのですよ。きちんと取材しているし。道路公団民営化の話は自分の仕事のまとめのドキュメントだから取材はなくて事実を書けばいいだけ。

それ以外で、使い回しが目立ってきているのが最近の著作の特徴だと思う。

「東京の副知事になってみたら」は当然ながら、副知事になってからの仕事全般を書いているわけだから、地下鉄の話も言葉の力の話も出てきてしまう。全部読むと重複が出てきてしまって読者的には同じ事を繰り返されていて面白く無い。

一番気に入らないのが地下鉄の話。私が鉄道ファンだからか。地下鉄博物館オープン当初に行ったくらいに東京の地下鉄の歴史を既に知っているからか。「地下鉄は誰のものか」の東京の地下鉄の歴史で戦前の銀座線の歴史を書いてしまったこと。これが納得いかなかった。少し調べればわかることだし、東京都が地下鉄を作らなかった(市営地下鉄として初めなかった)から早川徳次が苦労したのであって東京副知事が取り上げる歴史ではない。浅草線建設の段階でなんで「二元化」してしまったのかを説明する方が自然だという思いが拭えなかった。

その謎は「土地の神話」を読んで解けた。この物語は東急の田園都市(田園調布)の開発の物語(渋谷のターミナルの開発も含む)であり、当然五島慶太の取材もされている。だから、「土地の神話」を書いた猪瀬氏にとっては新たに取材しなくても五島慶太のエピソードであれば書けた、だから書いた、というのが私の推測だ。

そうでなければ不自然過ぎる。

「言葉の力」も読んでみたら1/4ないしは1/3は「東京の副知事になってみたら」で触れられている内容でそれを細かく書いている程度。

発電所の動きとか、仕事っぷりは認めるけど、作家としての旬は終わってるかな?という印象。

コメント

  1. KIM より:

    追記:
    「黒船の世紀」と「突破する力」も読んでいたことを思い出した。
    もちろん、全部は購入できないので図書館併用だけれども。
    これだけ読んだんだから、批評書いてもいいでしょう。