地元に天皇皇后両陛下がやってきた、そして戦後の昭和天皇の御行幸を考えた

さる3月30日、私の家から歩いて5分ほどの所にある東京武道館に天皇皇后両陛下がやってきた。

事前からニュースになっていたようだが、新聞もTVニュースも見ていなかったので、沿道警備の私服警官に偶然教えてもらうまで知らなかった。

東京武道館は福島県の方々の避難所になっている。

当日、その近所を通りかかったときに、人垣ができていて、警官がでていたのでなにがあるんだろう?と思っていた。

用事があって外出していて、たまたま信号待ちの時に、警備の私服警官に教えられ、すぐ来られるから、ということだったので自転車を止め、背筋を伸ばして車列を待った。

私の右手から左手へ車列は通りすぎて行った。天皇陛下が右側に、皇后陛下が左側に座っておられた。窓は開けておられたが、パレードではなく、移動、なので、皇后陛下の顔しか認識できなかった。

でも、なにか、安心したというか、ほっとしたというか、日本人としての何かを感じた。

正月の一般参賀などに行ったことはないので、皇族の方と直接この至近距離で接したのは初の経験である。

その夜、テレビで実際に建物の中での様子の中継を見た。時間をかけ、膝を折り、目線の高さを合わせ、話をされていた。

ぶっちゃけた話、両陛下に具体的な不平不満を言える人はいないだろうし、たとえいたとしても解決などしないだろう。

でも、テレビで見た、慰問を受けた皆さんも、そして沿道ですれ違っただけの私も、モノではないなにかを確実に受け取った。画面からはそれを感じた。

そして、思い出したのが、昭和天皇の戦後の御行幸だ。

私は鉄道ファンなので、お召し列車の運転実績としてしか、その事実としてしか、その行為を考えてこなかった。

昭和天皇は、戦後の復興期に、列車に乗り、時には車中泊までして、全国を回られた。そのように伝え聞く。

その当時、焼け野原から復興する国民の前に天皇陛下が回る、歴史の教科書で言えば、神様だった天皇陛下が人間宣言をした直後に顔見せでもしたんだろう位に思っていた。

でも、今回、地元に両陛下が来られて考えが変わった。

天皇陛下が地元にいらっしゃる、これ、ものすごい力になる。

うわべじゃない。言葉にもならないし、できない。具体的にどうこうできるものでもない。

でも、すごい。

あの一瞬ほど、日本人でよかったと思ったことはないし、天皇陛下の自主停電、那須御用邸の浴室提供には及ばないし、比べものにならない微力だけれども、これからの日本のために何かしようと思った一日になった。

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